三陸エンリッチメント研究室

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Document参考文献

■書籍

平田孝, 菅原達也編著. 水産物の色素−嗜好性と機能性. 恒星社厚生閣, 2008, 127p., ISBN978-4-7699-1076-3.

杉田治男編著. 増補改訂版養殖の餌と水−陰の主役たち. 恒星社厚生閣, 2014, 200p., ISBN978-4-7699-1491-4.

平井明夫. 魚の卵のはなし. 再版, 成山堂書店, 2007, 182p., ISBN978-4-425-85161-4.

瀬戸昌之. 生態系. 有斐閣, 1992, 184p., ISBN4-641-08509-9.

米康夫編. 養魚飼育−基礎と応用. 恒星社厚生閣, 1985, 150p., ISBN978-4-7699-1153-1.

林勇夫編. ベントスと漁業. 恒星社厚生閣, 2005, 159p., ISBN4-7699-1013-4.

日本水産学会編. 海洋の生態系と微生物. 3版, 恒星社厚生閣, 1992, 130p., ISBN978-4-7699-1109-8

加戸隆介編著, 奥村誠一, 広瀬雅人, 三宅裕志著. 三陸の海産無脊椎動物, 恒星社厚生閣, 2021, 280p., ISBN978-4-7699-1664-2

後藤晃, 前川光司編. 魚類の繁殖行動ーその様式と戦略をめぐって. 東海大学出版会. 1989. 201p., ISBN4-486-01074-4

桑村哲生, 中嶋康裕共編. 魚類の繁殖戦略1. 海游舎. 1996. 196p., ISBN978-4-905930-71-6

桑村哲生, 中嶋康裕共編. 魚類の繁殖戦略2. 海游舎. 1997. 198p., ISBN4-905930-72-3

桑村哲生, 狩野賢司共編. 魚類の社会行動1. 海游舎. 2001. 209p., ISBN978-4905930-77-8

中嶋康裕, 狩野賢司共編. 魚類の社会行動2. 海游舎. 2003. 210p., ISBN-4-905930-78-2

幸田正典, 中嶋康裕共編. 魚類の社会行動3. 海游舎. 2004. 234p., ISBN-4-905930-79-0

後藤晃, 井口恵一郎共編. 水生動物の卵サイズ 生活史の変異・種分化の生物学. 海游舎. 2001. 257p., ISBN4-905930-76-6

木村清志. 新魚類解剖図鑑. 緑書房, 2010. 216p., ISBN-978-4-89531-018-5

■論文等-CASに関して-

磁場下プログラムフリーザーによる安全かつ効率的なヒト人工多能性幹細胞由来神経幹/前駆細胞の凍結保存

西山雄一郎, 岩波明生, 神山淳, 板倉剛, 川端走野, 菅井桂子, 西村空也, 柏木玲, 安武かおり, 磯田美帆, 松本守雄, 中村雅也, 岡野栄之.
Yuichiro Nishiyama, Akio Iwanami, Jun Kohyama, Go Itakura, Soya Kawabata, Keiko Sugai, Soraya Nishimura, Rei Kashiwagi, Kaori Yasutake, Miho Isoda, Morio Matsumoto, Masaya Nakamura, Hideyuki Okano. Safe and efficient method for cryopreservation of human induced pluripotent stem cell-derived neural stem and progenitor cells by a programmed freezer with a magnetic field. June 2016, Neuroscience Research, Volume107, Page 20-29.

【主要な研究成果】 CASを用いて、ヒトiPS細胞由来の神経幹細胞を凍結保存すると、従来の緩慢凍結法と比べ、融解直 後の細胞生存率が著明に向上しました。CASの磁場を0.22~0.29mT、0.30~0.40mT、0.37~0.50mTの 各条件で比較検討すると、0.22~0.29mT、0.30~0.40mTの磁場下で凍結させた場合、従来の緩慢凍結 法での生存率(約34%)と比較し、凍結融解後の細胞生存率は著明に向上し、最も高い生存率は約70% でした。また、CASを用いた凍結保存後、融解したヒトiPS細胞由来の神経幹細胞は、従来の緩慢凍結 法で凍結した場合と比較し、ニューロスフェア(注6)径も保たれており、細胞増殖能や分化能も凍 結前と同等であり、凍結融解の与える影響も少ないと考えられました。さらに凍結融解したヒトiPS 細胞由来の神経幹細胞は、遺伝子発現解析においても凍結前と同等であり、凍結融解が遺伝子発現に 与える影響も少ないと考えられました。

微弱振動磁場(CAS Engine)を搭載した急速凍結機で凍結したサバ筋肉組織の品質改良

奥田華奈, 河内愛子, 逢田健太郎.
Kana Okuda, Aiko Kawauchi, Kentaro Yomogida. Data of the freezing curves of tuna blocks with or without the weak oscillating magnetic fields. August 2020, Crybiology, Volume95, Pages 130-137.

【要約】食品を長期保存する手段として冷凍はもっとも広く利用される方法の一つです。しかし、凍結する際に氷結晶が生成することにより、食品の品質が低下することが問題視されています。これについて、近年、「交流磁界が凍結時の氷晶形成に影響を及ぼす可能性がある」という研究報告がいくつか存在します。本論文では、従来の急速冷凍機にCAS Engineを搭載した急速凍結機を使って新鮮な魚を冷凍し、サバの組織学的な品質評価を行いました。
研究方法は、サバのフィレー(切り身)を、①家庭用冷凍庫、②急速冷凍機、③CAS Engine搭載の急速冷凍機の、3つの冷凍機で凍結させ、-30~35℃の保管庫で2週間保管しました。このサバの筋肉組織が解凍後における凍結ダメージについて、組織学的分析を行いました。
その結果、CAS Engine搭載の凍結機で凍結したサバの筋肉組織では、氷晶形成によるダメージが抑えられていることが明らかになりました。特に、氷水中で解凍したサバの身では著しく氷晶ダメージを抑制していることが示唆されました。この研究により、適切な解凍方法も重要な項目の一つになることが分かりました。

OF-011科学海洋掘削におけるCAS凍結法を用いた生物学的研究用サンプルの保管について

肖楠, 諸野裕樹, 寺田武志, 大和田哲男, 菅野正也, 稲垣史生. 2013, 日本微生物生態学会, 研究成果物(物質循環・地球微生物学,口頭発表)

【目的】科学海洋掘削による海底下生命圏の発見により、地球全体の微生物のバイオマス分布や代謝機能に関する研究が注目されている。地球深部探査船「ちきゅう」をはじめとする掘削プラットフォームで採取された試料は、地球科学や生命科学に関連する幅広い学術研究に用いられ、人類の貴重な科学資産の一つとして、その適切な保管・品質管理が必要となっている。本研究では、生物細胞を壊さない凍結技術として注目されているCell Alive System (CAS)を用いた低温掘削試料保管について検討を行った。
【方法】「ちきゅう」の試験航海で得られた掘削試料についてCASを用いて凍結して-80℃保管した試料、および4℃・-20℃・-80℃・-170℃(液体窒素タンク)で冷蔵、冷凍した試料をそれぞれの温度で保管した。6ヶ月及び2年後に試料中の微生物細胞数を計数し比較した。
【結果と考察】保存の結果、CASで凍結した試料以外は6ヶ月及び2年間保存後に微生物細胞数の減少が見られた。また、-80℃及び液体窒素で保存した試料は2年間の保存の後に微生物数がさらに減少していたが、CASで凍結した試料の微生物はほぼ減少しないことが分かった。CASは試料に微弱な交流磁場を与え、水分子を振動させて冷却する。これにより試料全体を均一に氷点以下に冷却した(過冷却)後に凍結が起こるため、試料中に微細かつ均一な氷結晶が生じ、微生物細胞を破壊せずに保存できると考えられる。本技術は貴重な掘削試料の凍結保存に有用であり、海洋底下に広がる未知生命圏を将来の発展的な分析技術で研究するために必須の保管方法となると考えている。

■論文等-生餌料に関して-

高水温期のカンパチ当歳魚におけるエクストルーダ処理固形配合飼料と生餌主体餌料の成長および飼料効率

佐藤, 公一. 大分県海洋水産研究センター調査研究報告 = Bulletin of Oita Institute of Marine and Fisheries Science. 2001, 3号, p.13-17.

【抄録】ブリ, <I>Seriola quinqueradiata</I>当歳魚の水温下降期 (10~1月) におけるエクストルーダー飼料 (EP) の適正な給餌方法を探ることを目的として, 飼料のエネルギー量や給餌頻度の異なる条件で, 成長や飼料効率についての比較試験を行った。<BR>給餌頻度の比較では, 週2回給餌区の飼育成績は他の区より明らかに劣ったが, 2日に1回の給餌区と週6回給餌区はよく類似しており, 水温下降期には2日に1回の給餌頻度で優れた飼育成績が得られることが明らかとなった。飼育成績から, 日間増重率 (DGR) と日間可消化エネルギー摂取量 (DDE) の関係について解析した。両者にはDGRを<I>y</I>, DDEを<I>x</I>として, <I>y</I>=0.721 {1-e<SUP>-0.137 (<I>x</I>-42.848) </SUP>} (<I>r</I><SUP>2</SUP>=0.913) の曲線で表される関係が認められた。曲線と接線の接点から, 当期の適正エネルギー要求量は58.9kcal/kg・BW/day付近と推察された。<BR>適正エネルギー要求量に基づく給餌方法により, EPの飼育成績は生餌餌料と比較して, 成長では同等かやや劣るが, 優れた飼料効率が得られると考えられた。

海産魚介類種苗の健全性向上に関する栄養学的研究

竹内俊郎. 日本水産学会誌, 2009, 74巻(4号), p.623-635.

【抄録】海産魚介類の種苗生産を行うには、その初期餌料としてワムシおよびブラインシュリンプ(アルテミア)などの生物餌料が一般的に使用される。しかし、魚介類種苗にとってこれらの生物餌料のみでは十分な栄養が賄えず、大量へい死や形態異常あるいは天然魚介類と異なる行動を示す個体が多発し、種苗生産された魚介類には健苗性と種苗性の双方に問題があった。そのため、魚介類種苗のそれらの要因にかかわる解明を図り、もって健全性の向上、すなわち種苗生産技術の開発に関する研究を行うことは極めて重要である。ここでは、1990年以降現在までの約20年間における魚介類種苗の健全性向上に関する栄養学的研究について紹介する。なお、本報で取り扱う魚介類とは、魚類、甲殻類、軟体動物を指す。

■論文等-その他-

主要対象生物の発育段階の生態的知見の収集・整理

社団法人全国豊かな海づくり推進協会. 2006.

【整理魚種の選定と取りまとめ方(抜粋)】今回の調査では、漁場整備の対象魚種に加え、資源回復計画や栽培漁業の対象魚種について、発育段階別(卵、仔魚期、稚魚期、未成魚期、成魚期など)の形態特性、分布、餌料生物、餌料要求量、競合・捕食種などの生態特性、成群性などの行動特性、及び水温、塩分、底質などの生息環境に関する知見を収集するとともに、知見が不足している部分を明らかにする。また、各種の生態について、地理的比較及び近縁種間の比較ができるように表で示す。

地域水産物の機能性成分

宮城県水産加工研究所. 2008, 22p.

【はじめに(抜粋)】本県は全国屈指の漁業生産県で、サンマ、サバ類、イワシ類、イカ類を主とする沿岸沖合漁業、カツオ、マグロなどの遠洋漁業、ノリ、カキ、ワカメ、ホタテガイ、ホヤ、ギンザケなどの養殖業が盛んな地域です。
また、北から気仙沼、女川、石巻、塩釜と4つの主要漁港があり、そこには産地魚市場が設置され、全国でも上位の水揚げを誇っています。これらの水産物は全国各地へ出荷され、消費者への動物性タンパク質の供給基地となっています。本県の水産物の多くが首都圏をはじめとした大消費地に流通している中、今後さらに水産物の消費拡大を促進するには、多くの消費者の皆さんに、健康面における水産物の優位性や地産地消の推進に取り組む必要があります。 これまでは、各産地魚市場の水揚げ量や漁獲物の種類などの資料については入手できますが、それらの魚種を食することによって、健康面でどのような効用があるのかという面で取りまとめた資料が少ないことから、今回の調査を行うことといたしました。

北太平洋域における10年規模の気候変動と海洋低次生態系の応答

野口(相田)真希,千葉早苗,田所和明.海の研究(Oceanography in Japan),27(1),43-57,2018.

【要旨】北太平洋における10 数年規模の気候変動に関連した海洋生態系の変化について,これまで多くの研究が行われてきた。その代表的な事例として,1976/77 年に発生した気候シフトに関する研究が挙げられる。これらの研究では,観測や数値モデルによって,1976/77 年に発生した気候シフトがプランクトンから魚類に至る海洋生態系に大きな影響を与えたことが示されている。また,ここ約半世紀の間,北太平洋の広域で表層の栄養塩濃度の減少トレンドも示しており,動植物プランクトンの生産への影響を示唆している。このように,海洋環境の変動に関連する海洋生態系の変化について多くの知見が得られている。一方,生態系構造には未だ不明な点が多く,物理環境-栄養塩-生態系に至る一連の変動プロセスについて定量的に理解することができていない。そこで本総説では,観測と数値モデルから得られた北太平洋域の一次生産者と動物プランクトンの10 年規模変動を概説し,海洋生態系の変動メカニズムの解明のために今後の研究展開を提示する。

Ecopathアプローチによる三陸沖底魚群集を中心とした漁業生態系の構造把握

米崎史郎, 清田雅史, 成松庸二, 服部努, 伊藤正木. 水産海洋研究, 2016, 80巻(1号), p.1-19.

三陸沖の底魚漁業の漁獲統計データおよび底魚類現存量調査データを用いて,底魚群集を中心に46機能群を有したEcopath生態系モデルを構築し,Ecopathのアウトプットや指標から,生態系の食物網構造を記述し,漁業の生態系への影響評価を行った。重要な餌生物となる機能群は,マクロベントス,中深層性魚類,ツノナシオキアミであったが,これらに対する捕食者間の餌選択性は異なった。また,現存量が小さいものの,三陸沖の底層生態系において鍵となる機能群は,中深層性さめ類,マダラ2+歳魚およびムネダラであったが,これら間の餌生物を巡る重複度は低く,競合関係は見られなかった。漁業活動の生態系への影響評価において,漁獲量に必要な基礎生産量は,かけ廻し漁業が2そう曳き網漁業よりも低く,高次捕食者の餌生物に対する影響は逆にかけ廻し漁業が2そう曳き網漁業よりも高かった。

海産真骨魚卵の浮遊性調節機構とその生態的役割

松原孝博. 水産海洋研究, 2010, 74巻(特集号), p.106-110.

【はじめに(抜粋)】真骨魚類の多くは卵生であり,卵は体外で受精,発生して棲息環境中で生存可能な仔魚にまで形態的,生理的に発達すると孵化に至る.孵化仔魚は摂餌可能になるまで卵由来の栄養である卵黄に依存して成長する.そのため卵は胚発生に使われる栄養をすべて不足なく含んでいる必要がある.また,真骨魚類の卵の特徴として,水中で発生する胚を物理的に保護するための硬い卵膜(chorion)を持つ点が挙げられる.
 漁業や養殖業の発達とともに,対象魚種の生態やそれに基づく資源管理,また増養殖のための種苗生産に関する研究や技術開発が進む中で,「良い卵」「悪い卵」といった卵質とそれを決定づける要因について強い興味が持たれてきた.卵質の評価には主として受精率や孵化率,仔魚の生残率などを指標としているが,ここには卵の発生に関する生理的なコンディションのよし悪しが問題である場合と,卵の受精率や孵化率は良好であっても卵の性質やそこから孵化した仔魚が生息環境に適応しない場合の全く異なる2つの事象を内包している.
 栽培漁業や養殖の盛んな日本では,特に種苗生産における「卵質」改善策についての研究が進められているものの,問題点は魚種ごとに大きく異なっている.そこでこの項では,自然界でみられる「卵質」の問題の中で,特に卵の浮遊性調節に関する生理学的な側面に焦点をあてて,新たな視点からこの問題をとらえるための材料を提供したい.

魚の卵の殻は受精すると硬くなるその開始機構

柴田安司. 日本比較内分泌学会ニュース, 2006, 121号, p.121-7.

【はじめに(抜粋)】卵膜とは卵の外側を取り囲んでいる外被のことで、魚卵では胚を守っている透明で丈夫な殻として容易に観察できます(図1)。通常、魚類ではコリオン(chorion)と呼ばれることも多いですが、哺乳類の透明帯(zona pellucida)、鳥類の卵黄膜内層(perivitelline membrane)、両生類の卵黄膜(vitelline envelope)に相当し、動物種ごとにその呼び名が異なるため、統一的に卵膜(egg envelope)と呼びます。メダカの未受精卵は手で持つと簡単に潰れてしまいますが、受精後は手で揉んでも簡単には潰れないくらい丈夫になります。その一番の要因が卵膜の硬化と呼ばれる現象にあります。受精後、この丈夫な卵膜の中で胚は保護されて発生し、孵化までを過ごします。受精前は軟らかいのに、受精後は急激に強靭になる。どのようにして強靭化するのかというのが本稿のテーマです。ここでは、生殖の研究によく用いられる淡水魚であるメダカ(Oryzias latipes)での研究を中心に紹介します。