三陸エンリッチメント研究室

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電子顕微鏡を用いた精密凍結活餌料と市販餌料の微細構造比較評価(2023年)

2025.03.24

三陸エンリッチメント研究室では、岩手大学電子顕微鏡室において精密凍結活餌料イサダと市販の冷凍餌料アミエビの各種電子顕微鏡写真を取得し、それぞれの評価を行いました。

👀1.外見の構造保全度
・それぞれの構造保全度を明瞭に判断できる撮影に成功。精密凍結活餌料イサダは微細構造まで保持できていることが確認されました。

👀2.複眼構造保全度
・複眼に焦点を絞ったことで、複眼構造が極めて綺麗に温存されている精密凍結活凍結イサダと、複眼構造が崩壊するのみならず、これを支える細胞構造自体も毀損している市販の冷凍アミエビとの違いは明らかとなりました。

👀3.筋原線維の観察
・精密凍結活餌料イサダはアクチンミオシンからなるサルコメア、Z膜、筋小胞体に至る筋フィラメント構造が生体と遜色ない程度に保全されているのに対して、市販の冷凍アミエビはコントラストのほぼ無いべたっと伸びきった状態が観察されました。

💡まとめ
精密凍結活イサダは極めて品質が高く、構造の細部にわたり凍結状態で温存されていることが確認されました。

電子顕微鏡を用いた既存市販餌料との比較評価

【目的】
精密凍結活餌料イサダと市販の冷凍アミエビそれぞれが、マクロな視点で組織構造がどれほどまでに違うのかを示す、各種電子顕微鏡像を取得する。また、細胞構造の保全度を視覚的に把握できるよう、最適な標本作成方法を検討する。これら実験により得られた各餌料の貴重な電気顕微鏡写真をアーカイブとしてデータ化する。

【方法】
岩手大学全学共同利用設備である電子顕微鏡室を活用し、精密凍結活餌料イサダと市販の冷凍アミエビをサンプルに、餌料構造の表面観察およびスライス切片の観察を行った。細胞構造の保全度を視覚的に把握できる構図においては、協議の結果、筋原繊維の構造比較がその違いをより明らかにすると期待されたことから、それぞれのサンプルを固定しスライス切片を作成した後、比較観察を行った。

【結果・評価】
走査電子顕微鏡を用いた観察においては、精密凍結活餌料イサダと市販の冷凍アミエビの間に明確な違いを観察することが出来た。

1.外見の構造保全度について

電子顕微鏡写真_1、電子顕微鏡写真_2においては、精密凍結活餌料イサダは微細構造まで保持できていることが確認できた。

2.複眼の構造保全度について

複眼に焦点を絞ったことで、複眼構造が極めて綺麗に温存されている精密凍結活餌料イサダと、複眼構造が崩壊するのみならず、これを支える細胞構造自体も毀損している(外骨格のみが薄皮のように残されて中身が存在しない)市販の冷凍アミエビとの違いは明らかであった。

3.筋原繊維の観察について

精密凍結活餌料イサダの筋原線維
市販の冷凍アミエビの筋原線維

筋原線維写真においては、精密凍結活餌料イサダはアクチンミオシンからなるサルコメア、Z膜、筋小胞体に至る筋フィラメント構造が生体と遜色ない程度に保全されているのに対して、市販の冷凍アミエビはコントラストのほぼ無いべたっと伸びきった状態が観察出来た。

筋原繊維の観察として、CAS凍結イサダのそれは極めて品質が高く、構造の細部にわたり冷凍状態で温存されていることは明白となったことから、取得した写真を用いて両者の品質差の明示に活用出来ると考える。