【はじめに(抜粋)】卵膜とは卵の外側を取り囲んでいる外被のことで、魚卵では胚を守っている透明で丈夫な殻として容易に観察できます(図1)。通常、魚類ではコリオン(chorion)と呼ばれることも多いですが、哺乳類の透明帯(zona pellucida)、鳥類の卵黄膜内層(perivitelline membrane)、両生類の卵黄膜(vitelline envelope)に相当し、動物種ごとにその呼び名が異なるため、統一的に卵膜(egg envelope)と呼びます。メダカの未受精卵は手で持つと簡単に潰れてしまいますが、受精後は手で揉んでも簡単には潰れないくらい丈夫になります。その一番の要因が卵膜の硬化と呼ばれる現象にあります。受精後、この丈夫な卵膜の中で胚は保護されて発生し、孵化までを過ごします。受精前は軟らかいのに、受精後は急激に強靭になる。どのようにして強靭化するのかというのが本稿のテーマです。ここでは、生殖の研究によく用いられる淡水魚であるメダカ(Oryzias latipes)での研究を中心に紹介します。
魚の卵の殻は受精すると硬くなるその開始機構
2021.07.31
